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カガクノトビラ カットビ!Blog

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2006年06月06日

KAKUTA花やしき公演『ムーンライトコースター』

去る6/4、プロジェクト002「ようこそ、星の劇場へ」でご紹介させていただいた劇団KAKUTAさんの最新公演『ムーンライトコースター』を拝見しに浅草まで行って来ました。そう、今回の公演の舞台は「浅草花やしき」、しかも夜間貸切で行われたのです!

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当日は幸いにして好天で(そういえば公演期間中は雨は降らず、強力な晴れ男or女がいる?)早めに浅草に到着、チラシ配りさんたちには会えなかったけど、花やしきは営業時間に満喫!自分、東京生まれの東京育ちのくせに、花やしきは何と初体験なんです。しかし遊んでいてもやっぱり気になるのは、この場所をどう舞台として使うんだろう?という点。もはや職業病ですが(汗)。

さて一旦花やしきの外に出てROXなどで時間をつぶし、開場時間ちょっと前に戻ると入場ゲートは長蛇の列!ちょちょちょ、すごい人数なんですけど・・・でもオペレーションはしっかりしていて、チケット引き替えから入場、席キープ(身代わり用通しNo.付ミニコーンを貸してくれるのです)まで非常にスムーズ。再演だけあって手慣れた客捌き、お見事でした。

さてこの公演、園内が4つのゾーンに分かれていまして、そこを6つのお芝居が巡って来るというスタイル。詳しくはKAKUTAさんのHPを見ていただきたいのですが、もう園内目一杯使いまくり。プラネタリウムマシンの周りをグルグル走るくらいで驚いている場合ではなかったんですね(笑)、なんというアクティビティでしょう!期待は高まる一方です。

入場すると場内ではすでに役者さんがパフォーマンスを始めています。道化師がはね回り、白スーツに赤いバラを持った兄ちゃんは誰かと待ち合わせ中、怪しい掃除婦、寂しそうな顔をした女子校生、失踪した父親探し中の兄妹などなど。たまに手ぬぐい売りや虫除けスプレーを勧めてくれる案内係が通っていきます。時折場内放送から流れる音楽に合わせて彼らが踊り始めたりして、全く飽きさせません。

空に上弦の月(KAKUTAさんのお天気メールに下弦とあったのはご愛敬/笑)がポッカリ浮かぶ中、いよいよ開演です。6つの物語はここ花やしきで展開していること以外は一見関連性のないお話なのですが、見進めていくうちに何となくテーマが浮かんできます。それはどのお話も「見えないもの」が主題になっているのかな、ということ。各物語のキーワードが「思い出」や「人の心」、もっと具体的に「落とし物」や「失踪者」、挙げ句の果てに「実体のない自分?」だったりするんです。

これらの話が一通り巡った後、最後にそれぞれのゾーンでの最初の物語がやってきて、無人のコースターが場内を走る場面が演じられます。つまり最後の場面は一つの物語についてしか見られないわけですよ。うーん、全部見たい!でも全部見ちゃうと再演があったときの楽しみが減るし・・・と何と観客泣かせの悩ましい構成ではありませんか(笑)。そしてその無人のコースターにそれぞれの「見えないもの」への想いが重なっていく・・・。

とにかくKAKUTAさんのお芝居には驚かされます。役者さんは良い意味でギラついておらず、とても親しみを感じられるところが桑原作品の世界観にピッタリマッチ。加えて抜群のチームワークとアクティブさで、綱渡りのような構成を何事もないようにこなしていきます。まるで失敗するなど微塵も考えてもいないかのように。いやそう感じさせないだけで、舞台裏は天地がひっくり返るような騒ぎなんでしょうけど(笑)。

そしてやっぱりこの人抜きには語れません、作・演出の桑原裕子さん。始まりはどこにでも転がっていそうなネタから、漫才もかくやというお笑いをタップリ注ぎ込み、最後に「うわっ、そう来たか!」的なひねった展開へ持っていくのがスゴク巧いです。最終的には人の琴線に触れる、ホロッとくるようなお話が多いのですが、全体を通してベタベタしたところが全くなく、あくまで爽やか。ほとんどのエンディングでは登場人物が「はにかんだ笑顔」で終わるんですね。私なんざぁもうイチコロです(笑)。

心の奥がホックリと暖まった帰り道、月は西の空に傾き、浅草寺五重塔の上には木星が、天頂にはアークトゥールスが輝いておりました。あー、幸せ。

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というわけで長々と読みづらい文章で申し訳ありませんでした。とにかく百聞は一見にしかずと申します、興味を持たれた方は、ぜひ次回のKAKUTAさんの舞台へ足をお運び下さいね♪