チョコレートの科学
あっという間にもう2月も半ばですね。
いろいろありましてなかなか更新が捗りません。
えーと、えーと、……がんばります(涙)。
さて、カガクノトビラですから科学ネタもたまには書きましょう?
巷はバレンタインデーで盛り上がっていますね。
バレンタインといえばもちろんチョコレート、それも想いを込めた
「手作りチョコレート」が話題になったりします。
しかし私は昔から疑問に思っていたのですが、
既製の板チョコを溶かして固め直しただけで
なぜ「手作りチョコレート」なのでしょうか?
手作りと言うからには、カカオ豆を焙煎するところから……
(笑)とまでは言いませんがもう少し手をかけても、と思っていました。
しかしある時、単に溶かしたものを固め直すだけでも
結構な手間であることを知りました。
手作りチョコレートの製作工程で最も手間がかかるのが
「テンパリング」、即ち固める段階での温度調整&管理。
これを怠ると美味しいチョコレート、いやいわゆるチョコレート
にすらなりません!
許容範囲1〜2℃の中で攪拌しながら温度を上げたり下げたり、
まあそれは大変な作業のようです。
さてテンパリングの詳しい内容はお菓子の専門家に任せるとして、
ここではなぜそんな面倒な作業が必要かを科学的に見てみましょう。
普段口にするチョコレートは、全体の30%を占めるカカオバターの
結晶中に、砂糖・粉乳・カカオマスなどの微粒子が分散している、
難しく言うと結晶分散系です。
このカカオバターの結晶というのがキモでして、この結晶は
4〜6種類の形があると言われています(数は文献により異なる)。
売っている状態のチョコレートは、V型(ローマ数字の5)です。
夏場に溶けたチョコレートが勝手に固まったときになる、
粉を吹いたような状態はIV型。あれは美味しくないですよね?
ただ自然に固めてしまうとIV型で結晶化してしまう(不味くなる)。
そこで温度を上げたり下げたりすることでV型の結晶化を促進するのです。
要するにテンパリングとは結晶の形をコントロールしているのです!
こう書くとものすごく科学っぽいですよね(笑)?
手作りチョコレートに限らず、料理とは化学反応を操る技術です。
このようなことも今後折を見てお話しさせていただこうかと思います。