2006.2.23 -> 26 於:東急まちだスターホール
引き続き、東急まちだスターホール・永田美絵さんへのインタビューをお送りします。
−−−スターホールさんはこれまでにも通常のプラネタリウム番組投影の他に、いろいろなイベントで実験的な試みをされてきましたよね。
永田美絵さん(以下永田) 当館は全国でも数少ない民営のプラネタリウムということで、イベントや企画ものについては他館よりも積極的に取り組んでいると思います。
−−−今回の劇団公演もかなり踏み込んだカタチでの興業と思いますが、その辺のいきさつなどをお聞かせ下さい。
永田 そうですね、先方から企画の持ち込みがありまして。ただ他にも劇団さんなどから「プラネタリウムでやりたい」と相談を持ちかけられることはよくあるのですが、設備や機材的に解決しなければならないことも多く、ただ「やりたい」だけでは実現できないケースもあります。今回KAKUTAさんとは充分な話し合いと検討を持てたことで、実現に至りました。
−−−機材の件はKAKUTAさんとのお話の中でも出たのですが、結局は館側から積極的な対応が出来なければ、使いこなすことは出来ません。そうなるとプラネタリウムでやる意義をお客さんが感じられるほどのものも提供できませんよね。
永田 KAKUTAさんからは「この場面ではこういう絵素材を投影したい」といったような、非常に具体的なご提案をいただけました。こちらではそれに近い物を探したり、なければ新しく作って、なるべく実現できるような対応をさせていただきました。公演中は当然我々スタッフもオペレーターとして参加することになりますので、とにかく「一緒にやりましょう」という感覚で作り上げたんです。
−−−機器のプログラムも演出に合わせて非常に細かく作り込まれていて、驚きました。
永田 プログラム製作は一ヶ月くらい前から入りまして、KAKUTAさんとは何回も場当たり(注:主に演出についての部分的な確認作業)を重ねました。その中でかなりシビアに、例えば「このセリフのこの部分でプログラムにキューを送る」というように詰めていきましたので、かなりピタッと合っていると思いますよ。
−−−ここまで突っ込んで関わっていくと、また新しい発見がありますね。
永田 我々も今まで気付かなかった、プラネタリウムの新しい可能性を発見できました。例えば普段は椅子が一方向を向いているのを外してしまい、円形に桟敷席を設けるというのも初めての経験です。舞台は三方向にあるし、はじめは正直「どういう風に見せるんだろう?」と思いました(笑)。KAKUTAさんにしても「星はどういう風に見せられるんだろう?」などと思われたでしょうね。でも摺り合わせを重ねていくことによって、さらに最終的にはお客さんが入ることによって、ようやく出来上がったなぁと実感できました。
−−−プラネタリウムで星を演出に活かすとなると、照明一つとってもご苦労が多いことと思います。
永田 今回KAKUTAさんには非常に星を活かしていただけたな、と思っています。例えば過去コンサートなどをやったときも、演奏の方が譜面が見えないので明かりをつけることの方が多かったんです。今回は暗転で星を見せるシーンでは、本当に真っ暗。ピアノの方(アルケミスト・井尻さん)は暗闇の中で鍵盤を見ずに弾かれています。
−−−これまで何回か上演されて(注:インタビュー時までに全8回中5回を上演済み)いかがですか?
永田 毎回違いますね!私は「ねこはしる」のオペレートを担当しているのでそちらは必死なのですが、「満天の夜」の方は見るたびに泣いてしまいます。先ほどの回も号泣してしまって(笑)。
−−−やはり劇場とは異なる、プラネタリウムという個性の強い環境の中では、いろいろご苦労も多かったわけです。しかし逆に言えば、ここまで作り込めば劇場では出来ないことを表現できるという証明にもなりました。
永田 ここまでやったからこそ得られたものというのは、沢山あったと思いますね。
−−−今後もこのような挑戦といいますか、お客さんを楽しませるために良いものを提供していく試みを期待しています。
永田 できればKAKUTAさんとはまた一緒にやりたいですし、何かまた別のチャレンジもやっていきたいと思っております。
−−−本日はありがとうございました。
>出演者コメント集へ
※このサイトで使われている製品等の名称は、一般に各社の商標または登録商標です。