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第6回 全国プラネタリウム研修会・宗像2008レポート 2008.2.19 Tue. 〜 21 Thu.


 

●全国プラネタリウム研修会・宗像2008レポート

 

 2008年2月19日〜21日、福岡県宗像市(福岡市と北九州市のほぼ中間)にある宗像ユリックスプラネタリウムにて全国プラネタリウム研修会・宗像2008が開催されました、もちろんカガクノトビラプロジェクトも参加、番組製作分科会において事例報告発表も行いましたので、その模様をお届けいたします。

 

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●JPA発足後、初の全国研修会

 

 日本プラネタリウム協議会(JPA)の全国大会は年間2回の予定で開催されます。そのうち単に全国大会と称されるものは、JPA総会の開催、事業への取り組みや研究発表、運営などの話題に重点を置く内容、また研修会と称されるものは主に担当者のスキルアップを行う研修会として位置付けられます。今回の宗像では初の研修会ということでしたが、模擬投影や分科会の他に製品・番組デモなども行われ、盛りだくさんの内容でした。

 

 日程は3日間。大まかなスケジュールは以下の通りです。

 

2/19 開会行事、事例報告、番組上映、情報交換会
2/20 模擬投影、CG製作会社見学、こども番組上映、分科会、ベンダー展示、デモタイム、季節番組上映
2/21 各分科会報告、全体会、閉会式、オプショナルツアー

 

 なお参加者がドームの入場定員を超えてしまったため、ドームを使用するパートでは二班に分かれて時間差スケジュールとなりました。これは大変だったと思います、スタッフのみなさんお疲れさまでした!

 

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●宗像ユリックスプラネタリウム

 

 今回の会場になった宗像ユリックスプラネタリウムはNPO法人MYPによって運営されています。NPOによる運営は他にもありますが、MYPのユニークな点は市民参加型の地域に密着した運営を最重視しているところです。運営には多くの「ほしぞらスタッフ」というボランティアさんが参加されており、番組作成から特殊投影機器の製作に至るまで主体的に関わっていらっしゃいます。

 

 初日は開会行事の後、事例報告「宗像ユリックスプラネタリウムの運営について」というタイトルで、MYPによる運営を紹介、またユリックスのオリジナル番組「クリスマスのおくりもの」の投影がありました。

 

加藤JPA理事長挨拶 五藤光学GX-AT 「クリスマスのおくりもの」紹介
加藤JPA理事長挨拶 ご本尊は五藤GX-AT
「クリスマスのおくりもの」紹介

 

 夕方からはドームを使用したハードデモ。このパートの目玉はやはり株式会社五藤光学研究所の新ラインナップ「バーチャリウムII HD」。中〜小型ドーム向けデジタルプラネタリウムシステムで、プロジェクターは従来品の6台から2台になり、据え付け場所も壁面ではなく光学式の前後に置かれていました(今回の場合)。またGSS-CHRONOSとの組み合わせによりハイブリッド制御システムを実現しますが、自社の他機種(GX、GM、G1014等)だけでなく、他社の光学式プラネタリウムにも追加・改修が可能とのことです(会場で配られたリーフレットより)。

 

 また日本ビクター株式会社からは業務用プロジェクター「DLA-SH4K」のデモがありました。このプロジェクターはフルハイビジョンの4倍以上の高解像度(4096×2400)と高コントラスト比(10000:1)を誇り、その画像の精緻さと黒レベルの沈み込みに参加者は驚かされたようです。

 

 そしてこの晩は近隣のレストラン「ぶどうの樹」で情報交換会が行われました。座席は円卓に用意され、くじ引きによって卓が決まるスタイルでしたので、各所で交流の輪が広がりました。立食バイキングだと単身参加者などは壁の花になりがちなので、こういった細やかな配慮はとても良かったと思います。

 

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●模擬投影と分科会

 

 明けて2日目、館に到着と同時に記念撮影。最近JPAページではアップされないですね、ちょっと残念です。さてこの日はまず現場担当者とベンダー系の二班に分かれて行動。現場担当者はドームにて模擬投影、ベンダー系は近くにある株式会社ゼネラルアサヒさんのCG制作部門GAデジタルグラフィックス研究所を見学。私はゼネラルアサヒさん見学にまわったのですが、その高い技術力にビックリ!お仕事もメジャーものから小品までバラエティに富んでいました。最もおなじみだったのは某有名テレビショッピング会社のムービー(社長さんキャラが踊るヤツ/笑)でした。そしてプレゼンルームでのデモではフル3Dによるガンダムの外伝(OVA)をたっぷり見せてもらいました。

 

 再びユリックスに戻り、こども番組を見学。MYPの小野田淳子さんによる解説で、「こういうところはこうしている」などと注意点などを交えながら進行。ただこども番組だったため、「みなさんをこども扱いしてゴメンナサイ」としきりに恐縮されていました。小野田さん、そりゃ仕方ないっすよ(笑)。

 

 展示見学と昼食を挟んで、午後は分科会。

 

場所

前半(13:00〜14:30)

後半(14:45〜16:45)
プラネタリウム

初心者分科会座長

(主に経験5年未満の方を対象に講義、意見交換)

デジタルプラネタリウム・デジタル移行分科会

(実際にドームで鑑賞しながら詳細や実態を検証)

視聴覚室

デジタルプラネタリウム分科会

(デジタルプラネタリウムとは)

 
第1会議室

学習投影分科会

(事例報告、学習指導要領改訂への各館の対応について情報交換)

第2会議室

番組製作分科会

(事例報告、自作番組の作成方法について情報交換)

第3会議室

外部連携分科会

(市民団体、学校等との連携について話し合い)

小和室

デジタル移行分科会

(スライドからデジタル機器への移行を検討)

 

 

 私は番組製作分科会に参加、事例報告で「ハイビジョンフォーマット番組製作の実際」というタイトルで発表させていただきました。ここではその内容をご紹介したいと思います。

 

 カガクノトビラプロジェクトでは今年の1月下旬に、世界天文年関連コンテンツ製作に向けて、その世界天文年の起源となったガリレオ・ガリレイゆかりのイタリアを取材してきました。ただ取材といいましてもプロ用機材にプロカメラマンという大がかりな編成ではありません。コンセプトはあくまで民生向けのハイビジョン機材でどこまでできるか。カメラはソニーのハイビジョンハンディカム、編集機材はパソコンという構成ですから、装備や環境は家電量販店レベルで全て揃うものです。

 

 当然画質は放送レベルとは比べようもありませんが、プラネタリウムでの解説の補助映像や、雰囲気を感じてもらうような目的に使うのであれば充分ではないかとふんでいます。取材にかかるコストを最小限にした場合のテストケースと言ってもいいでしょう。このようにしてコストカットをした結果がユーザーが納得できるレベルにあるのであれば、これまでより格段に安価に提供できるわけで、つまり選択肢を増やそうという思惑なのです。

 

 ここでは発表に使用したパワーポイントの資料(PDF形式に変換してあります)と、実際にその素材を用いて数日で超簡単に編集した動画(ハイビジョン解像度からDVD程度に画質を落としています)をご覧いただこうと思います。動画は本当に切り貼り程度のものですので、予めご了承下さい。宗像版よりクオリティを上げてからアップすることも考えましたが、素材選びから3日くらい(編集作業はほぼ1日、エンコード作業含む)でこの程度までできる見本という側面もありますので、あえてそのままアップしました。映像のつなぎはFI/FOとディゾルブしか使っていませんし、タイトルは手抜きもいいところ、月の合成に至っては色味すら合わせていないという状態で、非常にお恥ずかしいのですが……ガリレオが観測を行ったその地の様子を見て、何か感じるものがあるようでしたら嬉しいです。

 

 

発表資料

発表資料(PDF形式、53KB)

 

 

デモ映像

番組製作デモ映像(FLV形式)

※音が鳴りますのでご注意下さい!

 

 

 他で気になった発表といえば、何といっても星のお兄さんとミュージシャンの秋人さんが中心となってプロデュースされた、プラネタリウムのための童話+朗読+アニメ作品「デモナとカモナの星の船」!これはDVDによる完パケの配給以外に、セリフも音楽も全てライブで演っちゃおう!という斬新な企画もあったりで、今後の展開に注目です。全12話を順次ラフォーレ琵琶湖にて上演していく予定のようですので、スケジュールは要チェック、次の公演は4/13(水)、現在キャプテンムービーWEBサイトで予約受付中です。

 

 さて夕方からは前夜に引き続きデモタイム。コニカミノルタプラネタリウム株式会社配給コンテンツの紹介、エクスプローラーズ・ジャパン株式会社の「葉っぱのフレディ〜命の星のものがたり」デモ、そして株式会社オリハルコンテクノロジーズ高幣さん開発のスペースエンジン「ユニビュー」デモを、おなじみ株式会社リブラの田部さんの解説で紹介。

 

 続いては宗像ユリックスの季節番組「星座めぐり&太陽系のなかまたち」を投影。非常にオーセンティックな方向性の番組で、生解説の王道といってもいい、丁寧な作りの番組でした。

 

 そしてこの夜はホテルの宴会場を借りての大飲み会!飲み物やつまみはMYPの方に買いそろえていただいたもので、豪華でも何でもありませんが、きっとみなさんはこういった雰囲気が大好きなんだと思います。時間リミットまで大盛り上がりでした!

 

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●分科会報告、閉会式、OPツアー

 

 あっという間の3日間、最終日は公式行事前に朝8時集合というオプショナルツアーが組まれていました。見学先は宗像大社。昨晩はみなさん宴会の後も部屋飲みで盛り上がっていた方も多かったようですが、早起きをものともしない多くの参加者が集まりました。さすがに冷え込む中、宮司さんから宗像大社の起源や成り立ちなどを伺い、早朝の緑溢れる境内でリフレッシュできました。

 

 ユリックスに戻ってまずは昨日の各分科会からの報告。そして閉会式があり、公式行事はここまで。昼食後はオプショナルツアーで久留米にある福岡県青少年科学館へ行く方、残ってユリックスのスペシャル番組「星空の古代ロマン 〜移籍に描かれた星空への想い〜」を鑑賞する方、仕事で慌ただしく戻られる方(苦笑)など、様々に過ごされました。

 

宗像大社ツアー 宗像ユリックスのみなさん
宗像大社ツアー
宗像ユリックスのみなさん

 

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 いろいろとおもてなしの工夫と趣向が凝らされ、とても快適に過ごせた3日間でした。参加者が予想以上に大人数になってしまい、一抹の不安もありましたが、オペレーションはほぼ問題なかったように感じました。また研修会として見た場合の内容も満足いくものだったかと思います。JPA初の全国研修会ということでご苦労も多かったかと思いますが、改めて宗像ユリックス関係者及びMYPの皆様には感謝いたします。

 

 さて次は6月に千葉市科学館で総会が控えています。我々カガクノトビラでもこの6月の総会である程度形になったものを発表することを目標に頑張っていきたいと思いますので、ご声援よろしくお願いいたします。

 

※レポートについてのご意見はinfo@kagaku-no-tobira.comまでお寄せ下さい。

 

(記・撮影:コバヤシミチオ)


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