引き続きお三方へのインタビューをお送りします。インタビューも後半、みなさん固さもとれ、(笑)も増え始めました。
−−−ちょっと答えづらい質問かもしれませんが、ご兄弟でお仕事のコラボレーションをすることについてはいかがでしょう。やりやすいとか、やりづらいとかあるんでしょうか?
KAGAYA 私はやりやすいですよ、こっち(注:玲さん)がどう思っているかわからないけど?
一同 (笑)
KAGAYA いや、出来てくるものもピッタリですし、すごく注文も付けやすい。弟ですから、無理も結構言えますし。これがあまり私と親しくない人に頼むとなると、出来てきたものに対して「これちょっと合わないんじゃないの?」ってさすがに言いづらいじゃないですか(笑)
−−−ごもっともです(笑)。
KAGAYA それもほとんどバッチリ出来てきた曲を、ここはこういう映像だからもう少しこうして欲しい、タイミングを変えて欲しい、って。映像がこうなっちゃったからタイミングを変えろなんてなかなか言えないですよ(笑)。
−−−まさに身内のメリットですね。
KAGAYA お互いに番組を良くしようと一つの目標でやってますから、全然反抗してくることもなく(笑)。「ここは拘りがあるから」なんて聞いたことないんですよ?いや、私が説得しちゃうからかもしれないんですけど(笑)。「ここはこうなんだ」というと本当にその通りの曲が出来てくるんで、私はもう何も言うことはないです。
−−−「打てば響く」状態、それは楽です。
KAGAYA 楽というか、私は他の方にこういうことを頼んだことがないので、これが当たり前だと思ってしまっているんです。
−−−では「当たり前」と思われてしまっている玲さんの方はいかがでしょう(笑)?
玲 今の話を聞いていて、良かったなぁ〜、と(笑)。僕もやりにくいなんていうことは全くないですし、注文されたとしても「その通りだな」だと思うんで。
−−−納得できる注文だからこそスムーズに運ぶわけですね。
玲 注文にしても漠然とした感じで一言二言あるだけで、細かな注文はないですから。
北畠 それぞれ表現のツールをお持ちなので、目指すところが一致していればたぶん自然に融合するのではないでしょうか。
−−−作品を拝見したときに、まるでフルオーダーのように映像と音楽が溶け合っているように感じたので、その辺をお二人がどう作り込まれたのか興味があったのですが、理想的ですね。納得がいきました。
−−−時間も残り少なくなりましたが、KAGAYAさんの今後の展開はいかがでしょうか。まだまだ続きがありそうだ、ともおっしゃいましたが。
KAGAYA こういうプラネタリウム番組を作ったのは初めてですが、最近「プラネタリウム番組、次は何作るの?」ということをよく聞かれるんです。けれど今のところ具体的な考えはないんですよ。というのは、私の作品のテーマとしての「銀河鉄道の夜」があって、その表現方法がいろいろあって、その一つがプラネタリウムのドーム映像なんです。ですから今後プラネタリウム番組であれを作ろう、これを作ろうというのはありません。
−−−今のところはあくまでKAGAYAさんの「銀河鉄道の夜」の表現の一つで、プラネタリウム番組ありきではないというわけですね。
KAGAYA 「銀河鉄道の夜」はこれからも私の中で走り続けていくので、他の展開もあるでしょうし、もしかしたらドーム映像でさらに作り込んでいくといった方向に行くかもしれません。それはまだわからないです。
−−−純粋にドーム映像には興味を持たれましたか?
KAGAYA 今回やってみた実感としては、非常に面白かったです。プラネタリウムマシンから映し出される星とのマッチングもピッタリでした。このプラネタリウムの空間というものは、お客さんにとって別世界というか、私の世界を楽しんでいただく設備としては最高のものだと実感しました。これに味を占めて(笑)、新しいものを作るかもしれないですけれども。
−−−まだ次を考える余裕がない?
KAGAYA 今のところは100%近くまで出来上がったこの作品の完成度を、さらに110%、120%と高めることに集中しているので、ちょっと次のことはわからないですね。聞かれても混乱しちゃいます(笑)。もちろんいつも新しいものを作りたいとは思っていますけど。
−−−混乱しない範囲で結構ですので(笑)。
KAGAYA 自分が見たことがなく、かつ見たいもの、を作りたいんです。「銀河鉄道の夜」はまさにそうで、原作を読んで想像はしているんだけれども、本当に自分が乗った気持ちになれるような映像は無かったですよね。まだまだそういったテーマはたくさん持っているので、これからも見たことのない、自分の見たいものを作り続けていきたいと思います。結果的に見てくれた人がそれを「ああ、良いな」と思ってくれれば最高の幸せですね。
−−−絵の方でもストーリー性を感じさせるシリーズがありますよね。それらのイメージを膨らませて映像化する、なんていうのはアリかと勝手に思ってるんですが。
KAGAYA あるかもしれないですね。ただ「見たこともないような世界」でないと、自分としてはやっても面白くないと思いますけれども。・・・そうですね、うまくいきそうな技術と、自分が持っている資材、簡単に言うとコンピューターがどれくらい能力を持っているかとか、あとは時間的な問題とか、そういったものが整って目途が立ったら作り込んでみたいとは思います。で作っていって納得できたら公開する、と。
−−−構想が出来たら是非教えて下さい(笑)。
KAGAYA 3年か5年か10年か・・・(笑)。
北畠 待ちましょう(笑)。
−−−では玲さんは、今後どういった方向をお考えでしょうか?
玲 今回のように長いアニメーションに音をつけたのは初めてで、これに味を占めたというか(笑)。そんな感じがしているので、今後もこのような動画があったら係わってみたいと思います。
−−−音楽的には挑戦したい方面というか、ジャンルはありますか?
玲 まだハッキリとはないですが、まあ歌もインストも、何でもやりたいですね!
KAGAYA ライブをやったらどう?
玲 あー、そうですね!ライブはやりたいですね。
KAGAYA それでライブの時に後ろに映像を流すんですよ!
−−−うわぁ、お二人のコラボレーションライブ、すごく楽しみです!で音楽といえばここ最近、満天さんでは音楽絡みの番組が続いていますが、この辺は意図的に企画されているのでしょうか?
北畠 無理して並べているわけではないんですけれど、やはり満天の星と一緒に良い音楽を聴いてみたいとか、音楽だけでなくメッセージを持っているミュージシャンと番組を作ってみたいとか、通常では考えにくいカップリングをしてみたりとか、そういうキャスティングやぶつけ合いを毎回楽しんだ結果で、たまたま続いたと言えますね。
玲 北畠さん、音楽お好きそうですよね。結構お好きなんじゃないですか(笑)?
北畠 好きなんですが・・・プロじゃないんで(笑)。楽しんでやってます。星を見るときも必ずヘッドホンをして見ていた人間なんですよ。いろんなイマジネーションが広がりますよね。そういうのがスゴク好きで。
玲 楽器はやられるんですか?
北畠 楽器はドラムを叩くのが好きで。
KAGAYA じゃあ今度どうですか(笑)?
北畠 いやぁ、そんな予定はないです(笑)!
−−−でも満天さんでも、ライブに使いたいなんて引き合いも増えたのでは?
北畠 最近ミュージシャンの方からも注目されているようで、新曲発表会をやらせて欲しいとか、結構あるんですよ。でもライブだけだとその時で終わってしまうので、できれば番組を一緒に作りたいですよね。ライブをやっていただいて、番組にも参加してもらう。テーマ曲一曲だけでも良いんですけどね。そういうやり方で盛り上げたいな、とは思っています。
−−−その場限りのものではなく。
北畠 貸しホールではありませんし。そこでもう一歩踏み込んで提案したいなと。
−−−この特集の第一回でまちだスターホールさんと劇団さんのコラボをご紹介したのですが、スターホールさんでも「お客さんに星を見ていただく」という点には非常に拘りをもたれていました。
北畠 ウチもやはりその点は拘りたいですね。KAGAYAさんとの最初のプランニングでも、満天としては星のシーンをなるべく見せたいとお願いしまして、その絡みの部分を巧くやれば、最高のものが出来るに違いないとお話ししたんです。どの番組でも「満天の星」を大事にしていただきたいというのは、これからも変わらないですね。
−−−最後になりますが、この番組に興味を持たれた方々に、みなさんからメッセージをお願いします。まずは北畠さんからお願いします。
北畠 そうですね、原作の「銀河鉄道の夜」を楽しめなかった方には特に見ていただきたいですね。実は私も宮澤賢治の世界にはあまり入り込めなかった人間だったんです。けれど賢治は難しいと思っている方ですとか、幼少時代に読むのを挫折した方ですとか、そういう人たちにこそ一度見ていただきたいですね。
−−−新しい世界が広がるに違いない。
北畠 こういう世界があの中にはあったんだ、と。そこからまた原作に戻るキッカケになる作品になればいいなと思っています。ご家族で来ていただけたらもちろん嬉しいですけど、普段はゲームばかりやっているような若者とか(笑)?まああまりこういった作品に興味を示さなそうな層にも、キッカケを与えることが出来たらいいですね。
−−−では玲さんの方からもお願いします。
玲 そうですね、僕も北畠さんのおっしゃったように、原作に入り込めなかった人にも見て欲しいし、逆に原作を読み込んだ方が見ても楽しいと思います。見終わった後は本当に自分が旅してきたかのような気分で帰れると思いますので、ぜひ多くの方に見て欲しいですね。
−−−KAGAYAさん、お願いします。
KAGAYA 私はもう本当に自分の好きな星空や銀河鉄道の原作本を、どうやったら表現できるのだろうと考えてきました。けれど結局自分でも楽しめる世界を作れば、みなさんにも楽しんでいただけるんじゃないかと、そういう大前提で作ったわけです。で、お客さんがまず見終わって「とにかく原作本を読んでみたい」という気持ちになってくれればと思います。もうサンシャインの本屋から「銀河鉄道の夜」が消えちゃうくらいの勢いで(笑)。
−−−帰りに本屋に直行して欲しい(笑)。
KAGAYA 原作本を読んで「ふーん、こういう話だったんだ」と。で、その人達がさらにその後空気がキレイな、天の川が見えるようなところで星空を見上げたときに、ここ満天で見た星空と重なるわけです。そこで「あー、自分はあの天の川の川岸を走ったことがある!」という風に思ってくれたら最高ですね!
−−−本当にそうなって欲しいですね。我々も多くの方に見ていただけることを期待しております。では本日はお忙しい中、本当にありがとうございました。
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