メニュー〜PROJECTメニュー〜PRODUCTSメニュー〜BLOGメニュー〜ABOUT USメニュー〜LINK, etc...
KAKUTAとアルケミストとスターホール「満天の夜/ねこはしる」

2006.2.23 -> 26 於:東急まちだスターホール

1 芝居+音楽+星空が紡ぎ出す、極上の空間

 

●KAKUTA主宰・桑原さんと制作・前川さんインタビュー

  というわけで、ここからは劇団KAKUTAの主宰・桑原裕子さんと制作・前川裕作さんへのインタビューをお送りします。

 

●星の一年

−−−今回の公演はKAKUTAさんから企画を持ち込まれたということですが。


桑原裕子さん(以下桑原) はい。今年KAKUTAは「星の一年」と題して、星にまつわる三部作を一年かけてやっています。第一弾の「北極星から十七つ先」は流星群の夜に起こる物語で、昨年普通の劇場を使ってやったのですが、その時星の勉強をしようと思ってスターホールさんに伺ったんです。そうしたら子供の頃に見た感じとはまた違う、身体に入ってくる凄くステキな感覚があって。


−−−プラネタリウムという場所自体に惹かれたわけですね?


桑原 もう涙が出たほどで、改めてその良さを感じました。これは是非大人の方に見て欲しいな、と。以前からプラネタリウムでやりたいとは思っていたんです。それで企画書をスターホールさんに持ち込んだところ、非常に前向きに検討していただけまして。


−−−今回のように椅子を外したり、映写素材を用意したり、機器のプログラムを組んだりと、大がかりな設営に対応できるのは、我々もスターホールさんくらいしか思い当たりません。スターホールさんは民営なので柔軟ですが、ほとんどはお役所の管轄で融通が利かないところがほとんどだと思います。その辺は事前に調べられたのですか?


前川裕作さん(以下前川) とにかくダメ元で、いくつかあたってみたら?とりあえず町田からって。


桑原 こちらが私の地元ということで、本当にたまたまなんですよ(笑)。


−−−それはラッキーでしたね(笑)。そのおかげで「星の一年」が完成する。


桑原 第一弾が物語の中で見る空、第二弾がプラネタリウムで見る空、そして2006年5月に上演する第三弾の「ムーンライトコースター」は浅草の花やしきで、実際の空の下でやります。


−−−楽しみですね、期待しています。

 

●勝手が違う?

−−−プラネタリウムで劇団が本格的に公演を行うというのはかなり珍しいことだと思うんですが、特に事前の対策のようなものは考えられたのですか?

前川 というか、知らない間にゴリゴリと決まっていて(笑)。


桑原 こういう考えなければいけないことが多いケースでは通常の制作陣だけでは間に合わないので、役者の中でも企画部を立てるんです。それであんなことやこんなことをやりたいと、まあ両面から制作の方へお願い攻撃で攻め立てます(笑)。


−−−そもそもプラネタリウムという施設自体が、お芝居やコンサートで使いやすいようには出来ていないですよね。やはり制作側としては相当なご苦労があったと思いますが。


前川 特にこの「星の一年」は企画色が強いものばかりです。通常の劇場では共通の文法のようなものが担当さんとの間にあるのですが、それ以外のところではいろいろな認識を合わせるところから始めなければなりません。そのために製作側と演出側からプロジェクトチームを組んで、密接に意志の疎通を図れるようにしました。


桑原 スターホールさんとのお話でも「どんなことでも最終的に“やってみて良かった”とはなるでしょうが、それだけで終わらずに、お客様にキチンと星を見せてその良さをわかってもらえるような舞台にして欲しい」と希望されましたので、その辺りを特に見ていただきたいと思います。

 

●歌と芝居のコラボレーション

−−−このようなリーディング形式でやられるのは特別なんでしょうか?

桑原 KAKUTAの中で「朗読の夜シリーズ」というのがありまして、通常の公演以外にライフワークとしてやっています。「〜の夜」と題しまして、様々なジャンルの方とやろうという企画です。普段とはまた違った形ですので、どちらもご覧いただきたいですね。


−−−アルケミストさんとのコラボについてお伺いしたいのですが、まるで劇団内の音楽ユニットであるかのように、お芝居と一体化していたのがとても印象的でした。


桑原 今回の演目は二種類ありまして、そのうちの「ねこはしる」は再演なんです。アルケミストさんとはその初演の時からのお付き合いで。今回「満天の夜」(注:こちらは新作)のプラネタリウム公演が決まったとき、プラネタリウムに加えてさらなる贅沢な時間を用意したくて、どうしてもアルケミストさんの音楽が必要と思いお願いしました。同時に「ねこはしる」もぜひプラネタリウムでやってみたくて、同時公演となっています。


−−−楽曲とお芝居の世界観がすごく近いように感じました。アルケミストさんのWEBサイトでも、評論の方やファンの方から「空を感じた」という意見が書き込まれていたのをお見受けしましたし。これはもう偶然ではなく、必然の出会いだったのかな、と。


桑原 劇中の歌はほとんどが書き下ろしではなく、アルケミストさんのオリジナルなんですよ。そういった意味ではご一緒していて「結びついたな」という感じはありました。ただアルケミストさんもせっかくやるのならば作りたい、と言ってくれたので、歌入りの楽曲も二曲ほど書き下ろしていただきました。


−−−さらにBGMは生演奏という、とんでもなく贅沢な作りです(笑)。


桑原 挿入曲も全部ピアノの井尻慶太さんが作ってくれまして。本当に助けられました。

 

●製作裏話

−−−プラネタリウムでやられるにあたって、演出上のご苦労はどんなことがありましたか?


桑原 やはり明かり(注:照明)ですね。スターホールさんでやる以上、絶対に星は活かしたい。けど星を活かそうとすると真っ暗にしなければならない(笑)。なので「ここは絶対に星!」とか、「ここは芝居!」とかのメリハリをどう付けたらいいのか?という点が難しかったですね。


−−−それでも芝居のこのシーンで星が欲しい!みたいなところが出ますよね。


桑原 例えば最後の星を出すところなどでは、明かりは全部消しました。必然的にアルケミストの井尻さんは本当に真っ暗な中でピアノを弾かれています。


−−−丸い空間、という点ではいかがでしたか。


桑原 プラネタリウムの機械がかなり大きいですよね。この機械による死角をいかに気にならないようにするかということで、舞台美術の面でもかなり難しかったです。


−−−製作の面でも制約が非常に多かったと思うんですが。


前川 バックヤードなども人のショーをやるようには出来ていませんしね。物販用に机を屋根のないところに出したんですが、雨に降られてまた困ったり。


桑原 スターホールさんは東急百貨店町田店の屋上にあるということで、東急さん側にも時間外にエレベーターを動かすなどの特別なご協力をいただきました。


−−−機材や設備なども劇場に比べればかなり特殊で、活かすのも大変だったのでは?


桑原 それでもスターホールさんに全面的にご協力いただけたおかげで、かなりのところまで使い込むことが出来たと思います。例えばドームに投影する絵素材なども、本来なら時間や予算の関係であきらめなければいけないところを、スタッフの方がいろいろ工夫して用意してもらえたりとか。

 

●舞台としてのプラネタリウム

−−−このようなご苦労をしつつお芝居を作り上げられた今、改めてプラネタリウムに対して思うことは?


桑原 いやぁ本当に最高ですよ!今回、実は舞台上(注:場内に三ヶ所、1.5mほどの高さを持った舞台が設営された)が一番楽しいんです(笑)。役者は完全に星の中に入っているので、もう「うわぁっ!」って感じで。この視点って、普段は絶対に見ることが出来ないじゃないですか。ずっとあそこで寝そべって星を見ていたいです(笑)。


前川 本当にやって良かったと思います。稽古では何とも思わなかったところがグッときたりしましたしね。ただ製作としては「プラネタリウムでやる!」と要望されると、正直「うっ…」っとくるわけですよ(笑)。これが成功して、当たり前のように思われてしまうのもちょっとどうかなと(笑)。


−−−困ってしまう(笑)。


前川 あと星と歌と芝居のコラボをやって、お客様が「良かったなぁー」と言われたときに、「じゃあ芝居単体だったらどうなんだろう?」と妙な心配してしまうことも(笑)。


桑原 そこはもう相乗効果です、ってことで納得しないといけませんよね(笑)。


−−−では最後に次の公演のアピールなどを。


桑原 プラネタリウムの次は本物の星空の下ということで、遊園地の「花やしき」でやります。これも変わったやり方になるのですが、ステージ部分を決めずにある範囲をゾーンとして区切り、全部を客席と舞台にしようと思っています。4本のお芝居がパレードのように巡ってくるのを、お客様は好きなゾーンで見ていただくというスタイルです。見る場所は広場だったり池の畔だったりしますので、その場所場所によって生ずるニュアンスの違いなども感じていただければと思います。


−−−非常に楽しみな公演ですね、本日はありがとうございました。

 

>スターホール永田さんインタビューへ

 


>「ようこそ、星の劇場へ」トップへ戻る

 

※このサイトで使われている製品等の名称は、一般に各社の商標または登録商標です。