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KAKUTAとアルケミストとスターホール「満天の夜/ねこはしる」

2006.2.23 -> 26 於:東急まちだスターホール

1 芝居+音楽+星空が紡ぎ出す、極上の空間

 

●KAKUTAとアルケミストとスターホール

 今回は東急まちだスターホールさんで行われた、劇団KAKUTAさんとミュージシャンのアルケミストさんのコラボによる朗読劇「満天の夜」と「ねこはしる」の取材レポートと、関係者へのインタビューをお送りします。

 

●ここまでやるのか!

 まずは嘘偽り無い胸中からお話しします(笑)、行くまでは「朗読かぁ、正面に椅子を置いて役者さんが黙々と読むんだろうな、寝ないように頑張らねば……」なんて考えていました。しかし会場に入ってビックリ!ちょうどコンソールくらいの大きさで人の背丈ほどに嵩上げされた舞台が三つ、ドーム内の東西と南(北はコンソール)に設置されています。さらに座席はほとんど取り外され、プラネマシンを取り囲むような形で桟敷席に。うっひゃー、ここまでやるんかい!心の中でと思わずツッコミ(笑)。

 内容も単なる朗読ではなく、役者さんが3つの舞台と通路、プラネマシンの周りを話の流れに合わせて演技しながら移動しまくり、実にダイナミック。アルケミストさんの曲も非常に練り込まれた形で演題に組み込まれ、さらにプラネタリウム内の機器もちゃんと舞台装置として活用されています。特に星の見せ方については……もう感動モノです!では演題毎の簡単な紹介と感想を。

 

●「ねこはしる」

 詩人・童話作家の工藤直子さんの原作。落ちこぼれの仔猫「ラン」と、ふとしたことから出会った池のサカナとの友情物語です。ドームスクリーンには山の四季の風景が映し出され、アルケミストさんの心に染み渡る音楽が流れ、役者さんたちは自然の一部となり、そして切なくも高潔なラストシーンに重なる星空。同じプラネタリウムで見る星空でも、漫然と見るときよりも間違いなく美しいと感じたのは、やはり物語によって心が澄んでいたからなのでしょうか。優しいだけでなく、厳しいだけでなく、「きれいな心」でつながる二人のお話でした。

 

「ねこはしる」舞台写真 1   「ねこはしる」舞台写真 2   「ねこはしる」舞台写真 3   「ねこはしる」舞台写真 4

(写真:相川博昭)    

 

●「満天の夜」

 四つの短編小説を、オリジナルストーリーとアルケミストさんの音楽で紡いだ一作。田口ランディ「一番星」、川上弘美「星の光は昔の光」、村上春樹「4月のある晴れた朝に100パーセントの女の子に出会うことについて」、江國香織「いつか、ずっと昔」。そしてオリジナルストーリーは谷川俊太郎「二十億年の孤独」をモチーフに、とある姉妹の話が展開します。
  こちらでもドームスクリーンは大活躍でしたが、「ねこはしる」が季節感や温度感を出すために使われていたように感じたのに対し、こちらは個々の小説の持つ空気感を演出していたように感じました。そしてラストのパート、姉のある一言で観客は全てを理解し、涙する……そのときドームに映っていたのはきっと星空じゃなく、たぶん人の心の中そのものだったのでしょう。

 

「満天の夜」舞台写真 1   「満天の夜」舞台写真 2   「満天の夜」舞台写真 3   「満天の夜」舞台写真 4

(写真:相川博昭)    

 

●プラネタリウムでやる意味

 KAKUTAさんのお芝居とアルケミストさんの音楽に魅力があることはもちろんですが、今回はプラネタリウムという特殊な環境で実施するにあたって、スターホールさんと組まれた事がその魅力を充分に引き出すための大きな要因になったことは間違いないでしょう。見事に「プラネタリウムでなければ出来ないもの」を見させていただきました。スターホールさんから全面的な協力体制を取れなければ、おそらくは「わざわざプラネタリウムでやらなくても」と感じていたに違いありません。
 もちろん細かいところで気になった点もいくつかありますが、KAKUTAさん、アルケミストさん、スターホールさんが一緒になって作り上げた「最も伝えたかったこと」はしっかりと受け取れたと感じました。この三者のコラボレーションが今後も続き、またこのようなアプローチの出来る劇団や施設が各地で出てくるように願うばかりです。

 

●関係者へのインタビュー

 公演の合間を縫ってKAKUTA主宰の桑原さんと制作の前川さん、そしてスターホールの永田さんにインタビューさせていただき、この公演までの経緯や苦労話などを伺うことが出来ました。

 

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